大分県入り 一日目 宮崎県日向市、大分県佐伯港、道の駅「やよい」 

佐伯漁港では、午前6時頃競りが終わり、港の周りは静かなたたずまいである。

港の周りをあちこち走っていると、出荷作業をしている一隻の船を見つけた。

一生懸命出荷作業をしている。

責任者風の人に、「写真を撮らせて下さい」と言うと手でx印、だめである。

断られたからといって、そのまま引き下がるわけにもいかず、何かと、と思い

周辺をあちこち見て回っていると、荷揚げをしている作用台の所に隙間がある

のを見つけ、そこから撮影することに成功した。

荷揚げをしている船を見ると、喫水よりはるかに下に入り込んでいる。相当量

魚を積み込んでいる様子だ。

海を見ると、イケスのスカッパーから、海に流れ出たブリの鮮血で真っ赤に染まり、

広がって行っている。まさに「血の海だ!!」

3~4kgもあるブリが、発砲スチロールの容器に詰められ、大型トラックに次から次へと

積み込まれ、トラックの天井ぎりぎりまで積まれている。

もう少しで満杯状態である。

港を後に、近くに「金太郎」というラーメン屋があり入った。先客が一人いてテレビ

を見ながら台風11、12号のことで、店の主人と談義中。僕も加わって、

「11号は、東シナ海を北上するかもナー」

「そうかも・・・」とお客様

「どっから来た?」

種子島です」

種子島は行ったことがあるよ、モジャコ(ブリの稚魚)漁船に乗っている時、

熊野港にも行ったし、屋久島の宮之浦港にも行った」

種子島熊野港に入港する漁船の最北は、宮崎県の細島港だろうと思っていたが、まさか

大分県の佐伯から来ているとは、意外であった。

カーナビは、昨日は調子がよかったが今日はダメ。行きたい場所をインプットしても、

全く逆の方向を示したりである。

教えてもらった通り、ナビのメインスイッチを切って新しく立ち上げてもダメ。

こまったものだ。

道路標識を頼りに、国道217号線から国道10号へと繋ぎ、道の駅「やよい」に無事到着

。「やよい」の物産館はものすごい人出で賑わっている。

地元産の野菜、果物、海産物等が豊富で、価格が安い。車でごろごろして時間をつぶし

、夕方近く再度物産館に行ってみると、480円の弁当が380円になっていた。それを

買って今夜のダレヤメのおかずに。

夕方5時頃からダレヤメをやっていると、立派なキャンピングカーがやって来た。

僕のそばに停車したので、

「今晩は!」

「どっからですか?」

「鹿児島の霧島です。」

「あんたは?」

「僕は種子島です。」

「ええ!!」

「立派なキャンピングカーですねー」

「退職金?百万使って買った。今、家族で旅行中じゃが」

話の好きな人で、いつまでも喋っているようなタイプ、いろいろ家庭的ことまで語って

いた。

一緒に飲もうと言ったが、途中車を移動するかも知れないと言うから無理に勧めなかっ

た。その人が車に帰り、もう寝ようとしていたら、もう一人やって来た。

「今晩は!」

「どっから来た?」

種子島です」

「へえ!!」種子島からというと皆が驚く。

「どこかお勤めですか?」

「いや、この近くで農業をやっている。」

「使くに、鍾乳洞があるかから行ってみれば・・・」

「どこですか?」

「この道の駅を出て、すぐ右に行くと道路標識に書いてるからすぐわかるが」

「わかった明日行ってみる」

地元出身の方でわざわざ教えに来てくれたらしい。

ありがとうと言って別れた。

 

三日目 宮崎県青島港、川南港、細島港

朝から雨模様である。

川南港で朝競りが行われるだろうと思い、青島漁港を午前6時40分に立った。

川南港までは途中宮崎市、新富町高鍋町等を経由し、約50キロの行程である。

川南港に着くと、雨は激しさを増し、どしゃ降りの状態である。

漁業倉庫に、5~6人いて作業をしている。行ってみるとマグロの延縄の仕掛けを作って

いた。

「こんにちは!」

「もう競りは終わったんですか?」

「いや、川南の競りは午後3時からだよ・・・」

種子島から来ました、よろしく」

と言うと椅子に座っていた長老格風の人がこちらを見て、頭を立てに振った。

「僕は、種子島の熊野港近くに住んでいるから、熊野港にしょっちゅう遊びに行く。

川南港船籍のマグロ延縄船をよく見かける」と言うと

「盆前、6月、8月にもマグロ漁のため熊野港に寄ったよ」と言う人がいた。

その人は、

南種子町にあるパチンコ屋でやられた!!」

と言っていた。

パチンコで負けても、マグロでは儲かっているんでしょう、乗ってる車がよか車じゃが

・・・と独り言。

「これがマグロの延縄ですか?」

「そうです。昔はクレモナを使っていたが、今はナイロンのテグスを使用

しているよ!」

魚釣りの仕掛けは漁師の命、やたらと人に教えないし、もくもくと自分で研究しながら

互いに競い合う。そのことを思うと簡単に写真を撮らせて・・とはいいずらいが思い

切って「写真を取ってもいいですか?」と言うと

「よかよ!」と長老格風の人の許可が出たので撮らせて貰った。

雨は止む気配がない。今日はどうしても細島港まで行きたい。川南港で午後3時から

始まる競りを諦め、細島港に向け出発。

細島港に着いたのが午後1時頃、雨も上がり雲り空の状態、網倉庫の所でロープの端末

処理をしている人がいた。年齢70歳位の人で、

種子島から来ました」と言うとニコニコしながら受け入れてくれた。

「この前、熊野港に行った。種子島お熊野港はしょっちゅう行ってるよ!」

種子島屋久島の間によか魚場(棚)がある。その棚は浅いとこで水深300m位、大

変よか棚でキハダマグロがいつも住み着いているようだ」

ただ、その棚は小さいため、熊野港で延縄船の代表者が集まって、いい場所を取るため

の優先順位を決めるそうだ。

そのやり方は、船数が少ない時はアミダくじ、多い時は割り箸に印をしてその印を引き

当てた人が良い場所を取る。その場所を取るか取らないかでは金額にして100万円位の

差があると言う。また、この棚の付近にはシャチもいて、延縄にかかったマグロを喰い

ちぎり、頭だけ残したりするそうだ。

「細島港の競りは何時からですか?」

「午前11時からだからもう終わったよ!」

時計を見ると午後1時30分、もうとっくに終わった後である。

「今日の競りはどうでしたか?」

「木肌の30kg以上が30本、それ以下が20本だ!」

「競り落とされたキハダマグロはどこへ?」

「関西方面と、後九州管内で売却されるよ」

「いろいろと丁寧に教えていただき、ありがとうございました。今度、熊野港で

会いましょう」と言うと、ニコニコしながら手を振って見送ってくれた。

今後は、宮崎県日向市に住む友人、宮光美(みやみつよし)さんの所に厄介になる

ことになっている。

みっつうアイジョウ(兄さんの意)とは親戚でもあり、郷里に帰った時は一緒に焼酎

を酌み交わす仲。

みっつうさんは、長年、貨物船の船長さんで、日本各地を回っていたそうですが、今

はたまに乗船するだけだとか・・・

みっつうさんには、午後3時30分頃行くからと連絡している。細島漁港を早めに切り上

げ、日向市街地方向へ。みっつうさんの家に着いたのが午後3時15分頃、着いてびっく

り!!

家の周りはカエルの大集合、軒下やカラオケ店の入り口付近ここには一段と大きなカエ

ルの腹の部分に「お客を笑顔でむカエル!」とある。

「みっつうアイジョウ」

「むつおじゃろ、今着いたやー」と言うと奥から出てきて、

「おお来たか!」

「カエルがものすごいもんじゃなー」

「子供達がよう遊びに来んどう」

みっつうさんの家の近くは通学路になっていて、家の前を子供達が通る時、

「カエルのおっちゃんオハヨウー」と声をかけるそうだ。

みっつうさんは子供達から声をかけられるのがうれしく、時には家の前に立って

子供達がくるのを待っているそうだ。

子供達は、カエルが大変物珍しく、時にはカエルと一緒に遊ぶこともあるようだ。

カエルの口に手をやったりして、上級生が下級生にお前もやれ!と言う中には、

いやこわいい!と言って手を両脇に隠す子供もいるとか・・・

カエルは、定置網等に使われているウキ、椰子の実ではないが古里の岸を離れて、

瀬戸内海を漂流しているものを拾い、サンだー等で加工し、ペンキを塗って仕上げた

ものとか・・・

また、みっつうさんは、住宅の横にカラオケ店を経営しており、その店の内装等は

自分で家庭的に仕上げ、お客様から大変親しまれているようだ。

店を経営して3年も経たないのに日向市では有名なカラオケ店で、昨年春、日向市に

大物歌手がやって来た。その大物歌手側からのコンサート以来通知があり、日向市を

まとめ、コンサートは大成功だったそうだ。終わってから、その大物歌手がみっつう

さんの所にお礼挨拶に来て、一緒に酌み交したとか・・・

しばらくすると、みっつうさんのバキー(妻)がやって来た。挨拶を済ませ、準備して

くれていた風呂に入った。その間、みっつうさんはかつおのたたきを作ってくれて、

僕が風呂から上がったらさっそくカラオケ店でダレヤメ開始。

その後、タクシーで日向市街地へ。大変豪華な料理店に案内され、最後に食べた肉料理

はこたえた。久し振りに腹一杯である。そして家に帰ってカラオケ。

稲子(みっつうさんの妻)さんが「ムッシャ兄ちゃん歌えや」と言う。

僕の渾名は「ムッシャン」である。それに兄ちゃんを付けるから面白い。

みっつうさんと二人で大笑い。稲子さんは、慈悲の気持ちがあったのだと僕は思って

いる。

「赤いハンカチ」を皮切りに4~5曲歌った。稲子さんは、ずうと脇役でマダカスで

調子を取ってくれたりである。長い旅の中で大変楽しい一時でした。

みっつうアイジョウ、稲子さん大変お世話になりました。

 

オオキニー(ありがとう)

 

つづく

宮崎県入り 二日目 宮崎県日南市、油津港、青島港

日南市油津港には、さすがマグロが上がっていた。

種子島近海等で延縄で釣るキハダマグロがほとんどで、25匹上がっていた。一番

大きいので60kg位で、主に関西方面に出荷されているようだ。マグロ船は現在出航中

で、19トンクラスの小さいマグロ船が2~3隻いる。

青島漁港に着いたのが午前11時30分頃、すでに競りは終わった後で、人の気配はない。

今日、宿泊する場所を探していると、漁師の味港「あおしま」のレストラン風の店を

見つけ、入った。まだ12時前だというのに、もう沢山の客がいる。漁師町ならでの

メニューは、ほとんど魚料理である。ちょっと張り込んで「はもの天ぷら定食」を

注文した。

客が次から次への出たり入ったり、青島で評判の店かもしれない。

揚げ立ての「はもの天ぷら定食」届く、さすがにうまい旨い。この店の人気のわけ

がわかったような気がした。

今日は、昼からの計画はない。

「青島サンクマールホテル」の温泉に行くことにした。

サンクマールホテルは、国道220号線を日南市の方に戻った海岸に近い、風光明媚な

場所にあり、浴室からは海が見える。湯船につかったり、ドアーを開けベランダに

出たりして、海を眺めながら1時間以上入っていた。青島サンクマールホテルでは、

結婚式をやっているようだ。ロビー等あちらこちらで礼服姿の人達を見かける。

入浴後、ホテルの海岸寄りの駐車場に、ここは建物の影になっている。その駐車場

に車を止め、すべてのドアーを開け、昼寝を試みたが風がないから暑い。

千潟の方を見ると魚釣りをしている人がいる。

宮崎県入り 一日目 鹿児島県内之浦港、宮崎県、南郷港

内之浦港は、午前4時20分頃、動き出した。

イセエビ漁の小型船、定置網漁の大型船等、船のエンジン音で目が覚めた。

朝食を簡単に済ませ、帝位網漁の荷揚げ場に行ってみると、もう発砲スチロールの容器

に魚と詰め、高く積んである。魚を大きなタモで次から次へとすくい、降ろして行く。

ほとんどがアジ、サバ等の青物で、中にはシイラキハダマグロ等もいる。

港4箇所で降ろしているから相当な魚の量である。

内之浦港を後にし、宮崎県南郷港へ南郷港に着くと、もう競りは始ってした。ベンコ

鯛、カマス、カレイ、ミズイカ、シイラ、ブダイ、甲イカ等、魚種は豊富だが上がって

いる量は少ない。

仲介風の「オバチャン」がいて、イカに着いたスミを一生懸命水で洗い流している。

「そのイカ商売ですか?」

「いやーこれは自家用じゃいよ」

「甲イカのようですが」

「そう、甲イカよ!」

「どうやって食べるの?」

「刺身でもよかし、さっと湯通しして、味噌味にして食べてもおいいしかよ」

御バチャンは、ベンコ鯛、カマス等も競り落としていた。

南郷町には、かつお一本釣り船が5隻停泊中。その中の

「第5清龍丸」の乗組員に、

「この船は何トン位あるの?」

「119トンだ」

かつお釣りにどこまで行くの?」

三陸沖だ、8月30日に出航する」

「取れたかつおは、どこに出荷するんですか?」

「主に千葉県勝浦や銚子港に持って行く」

マグロやかつおのおもな漁場は三陸沖のようだ。潮流の状態がいいのだろう。

宮崎県だけで100トン以上のかつお船は30隻以上いるそうだ。

この外マグロ船等を入れると、相当数の大型船がいることになる。やはり宮崎県は、

日本でも屈指の漁業県のようだ。

今日の宿泊は、南郷漁港に決めた。きれいな洗面所、トイレがある。

漁協婦人部が定期的に清掃しているようだ。

今日は温泉なし最近睡眠不足ぎみ・・・・・

二日目 鹿児島県垂水港、根占港、大泊港、内之浦港

国道220号線を、日本本土最南端「佐多岬」方向へ。朝市で海岸線を走るのは気持ちがいい。

今日も素晴らしい天気である。車を走らせながら、チラッと右方向を見ると、薩摩富士(開聞岳)が雄大にそびえている。大隅半島から見る薩摩富士は初めてで、一段と輝きを増している。

頂上付近には、薄い雲がかかり、素晴らしい眺めであす。車を止めて、パッチリ。

根占港に着いたのが午前9時頃、港に着くと祝「山川・根占航路新船就航」と書かれた看板が揚げられ、大きな花輪が飾られている。大隅半島薩摩半島を結ぶ架け橋として大変重要な航路で、地域の人たちの思いがかなえらえた素晴らしい事だ。

現在一日4便、運航されているようだ。

根占港を後に大泊港へ港に着くと漁師さんが二人いる。近寄って行って、

「今、何の漁を?」

「トサカ海苔漁じゃが」

「刺身の脇役の・・」

「そうそう。料亭などで使われているそうだ」

「どこに出荷っしているの?」

「おもに熊本県に出荷しちょいど」

「トサカ海苔はどうやって取るの?」

「皆んな素潜りで、岩場についているのを手でむしり取る」

その漁が終わると飛び魚漁、うつぼ漁だと言う。

「大泊は、キラクロウ(うつぼ)漁が盛んなようですが?」

「キラクロウ漁は、10月頃からじゃっど」

「どこか、キラクロウ料理を食べさせてくれる所はなかろうか・・」

「あっけ、ほらー」指差す方向を見ると(キラクロウ)と書かれた旗が揚げられ、風になびいている。

漁師さんにお礼を言って旗をめがけて歩いて行く。着くと、海岸近くにできた仮設の建物で、店は小さくお客さんは誰もいないようだ。

「こんにちは!」

と言うと店の人が出てきた。

「キラクロウ料理を食べにきました」

「今は、シーズンオフでやってないよ」

「ええー旗が・・・」やってないなら旗を揚げるなよな・・と独り言。

大泊のキラクロウ料理は案外有名で、正月出郷者が、この料理を食べるために帰郷するとか・・

大泊のキラクロウ料理は、そのうちどうしても食べたいと思っている。キラクロウ料理は、何回か食べたことがある。開いたものを火であぶり、味噌汁にして食べるのも旨い。また、割って干したものを七部焼きにし、刺身にして食べると、他の高級魚に匹敵する味。ただ、キラクロウは、肛門から下のほうは小骨が多くて食べられない。いくらキラクロウが旨くても、物がなければ胃袋に収めることはできない。想像ばかりでは腹へるばかり、先に行くことにする。

佐多岬は、鹿児島、種子島を結ぶ高速船上から見るだけで、このように近くから見るのは初めてである。

本土最南端に位置し、ビロウ、ソテツ等の亜熱帯の植物が自生し、繁茂している。

岸良海水浴場は、砂浜の白さ、海の青さ、透明度が実にすばらしい。種子島西之表市にある浦田海水浴場に匹敵する。子供達の夏休みが終わり、海水客はまばらであった。

水上モーターバイクが勢いよく走り、水しぶきを上げながら沖に向かって走って行く姿が線を描き、ひときわ目立っていた。

内之浦港に着いたのが午後3時30分頃、さすが大きな漁港である。両岸に大小たくさんの船が係留されている。

車で港の周りを走っていると、港の近くで網を繕っている人がいた。

そばに寄って行って

「こんにちは!」

と言うと、にこーと笑ってこちらを向いている。

「どこから来た?」

種子島からです」

「ええ!」

「今、内之浦ではどんな漁をしているんですか?」

内之浦は、定置網漁、建て網やイセエビ漁じゃらいなーしかし、何の漁をしてもうまくいかん」

その漁師さんの話によると、例えば、

「建て網漁で5,000円取れても、今は燃料費が高いから採算が取れん。漁をせん方がましだ」と言う。

だけど、漁師が漁をしないでどうやって生活して行くのか?と心配もする。港には、漁をしていない船が数隻いる。その中の大型船で、カラスの番がブリッジの高い所に行ったり、甲板に下りたりして戯れている。

今日の宿泊場所を探す。港をあちこち回っていると、洗面所のある場所を見つけた。

今日はこの洗面所近くの広場に車を止めることにした。

さっそくダレヤメのおかず調達 コンビニはないがコープがあり、いろんな食料品を売っている。適当なものを買って店員さんに、

「この辺、温泉はないですか?」

「あるよ、内之浦温泉が!」

場所を聞いて早速その温泉に。肝付町営の温泉のようで、泉質の良さはあまり感じなかったが、温泉場の環境が整い、清潔さを感じさせるいい温泉でした。

内之浦の港は静かだ、あまりの静けさに気味が悪いくらいだ。後にこの静けさが寂しさに変わり、いくら焼酎を呷っても収まらなかった。

神秘現象なのか・・・・

『港巡り』九州一周の旅 まえがき 父編

まえがき

港の周りを海鳥たちがエサを求めて飛び交っている。

定置網漁の船が港に帰り、ゆっくりと接岸するところである。

喫水深く相当魚を積み込んでいるようだ。

熊野港で見た、春の日の光景である。

僕は、港のある風景が好きで、近くにある熊野港によく遊びに行く。

時期になると、よそ船が十数隻停泊していることもあり、その船をくまなく見て歩く

のが楽しみである。

船は、だいたい同じ型をしており、宮崎県の油津、川南、細島港船籍の船が多くみら

れ、キハダマグロ漁の延縄船が大部分のようである。

種子島近海には、キハダマグロ量のよか漁場(棚)があり、その棚をめがけて、あちこ

ちから船が集まってくるようだ。

僕は、数年前から、港巡り『九州一周の旅』を計画しており、この度、実行し終えたの

で、事について記したいと思う。

 

一日目 鹿児島県西之表港、鹿児島港、桜島港、垂水港

種子島西之表港11時30分発フェリー「新さつま」に乗船、鹿児島港着。

その後桜島港を経て垂水市海潟に着いた時は、夕暮れ近くになっていた。

種子島は離島の影響をもろに受け、ガソリンが高い。

2011年8月現在で、1ℓ177円である。鹿児島で入れようと、かすかすの状態で走ってきた。

ガソリンスタンドを見つけ、店員さんに、

「ガソリン満タンにしてくれや」

「ありがとうございます」

「垂水は、養殖魚の盛んな所でしょう、競りはやっていないのかな」

「いや、競りはないが魚の出荷はやってるよ!」

「何時頃からですか?」

「朝、4時から5時頃からだと思う」

「今日、この車でこの地に泊まりたいが、どこか洗面所のある所は・・」

「あんど、このスタンドの裏は港だから、あの信号を左に行くと港に出る。それを右に

 行くと洗面所があんど」

「コンビニは?」

「あっけほら、この道を戻って道路右側にほら・・」

「ああ、わかった!」

「もう一つ、この辺温泉はないだろうか?」

「この道を垂水市街地の方に行くと、道路右側に(紅洋館)という温泉があんど」

全く至れり尽くせりである。最高の条件が整った。今年はいつまでも暑い日が続く、

毎日風呂に入らんと気持ちが悪か・・

温泉紅洋館はすぐわかった。

入浴後コンビニへ。

ダレヤメ(晩酌)のおかずを買って港の洗面所のある近くの広場に車を止め、さっそく

ダレヤメ開始。

始めての車上泊で眠れるかなーと不安もあったが、ダレヤメの勢いでいつのまにか

熟睡していた。

明朝、3時30分頃、船のエンジンの音で目が覚めた。

「こらまあーやかましかもんじゃ(うるさいの意)」

「わざわいかとこれ、寝ちゃったきりゃ(うるさい場所に寝ていたの意)」

船のエンジン音のする方向を見ると、ひときわ明るい灯が見える。洗面を済ませて

その灯りの方へと行ってみると、もうカンパチの出荷が始まっていた。養殖イケスを

そのまま船で引っ張ってきて、丸い大きなタモを大胆に突っ込み、すくい上げている。

上げられたカンパチは、急所をシメられ、流れ作業で運ばれて行く。

イケスの魚をすくい終わると、次のイケスを船で引っ張ってきて、同じ作業を繰り返し

ながら陸上げをしていた。

そばで出荷作業を見ている人に

「このカンパチは、何年物ですか?」

「出荷するカンパチは、だいたい2年物ですよ」

鹿児島県垂水漁業協同組合、電話確認

単漁業組合として

養殖規模・・・日本一

漁獲高・・・日本一(年間5000トン)

出荷場所・・・日本全国