『港巡り』九州一周の旅 まえがき 父編

まえがき

港の周りを海鳥たちがエサを求めて飛び交っている。

定置網漁の船が港に帰り、ゆっくりと接岸するところである。

喫水深く相当魚を積み込んでいるようだ。

熊野港で見た、春の日の光景である。

僕は、港のある風景が好きで、近くにある熊野港によく遊びに行く。

時期になると、よそ船が十数隻停泊していることもあり、その船をくまなく見て歩く

のが楽しみである。

船は、だいたい同じ型をしており、宮崎県の油津、川南、細島港船籍の船が多くみら

れ、キハダマグロ漁の延縄船が大部分のようである。

種子島近海には、キハダマグロ量のよか漁場(棚)があり、その棚をめがけて、あちこ

ちから船が集まってくるようだ。

僕は、数年前から、港巡り『九州一周の旅』を計画しており、この度、実行し終えたの

で、事について記したいと思う。

 

一日目 鹿児島県西之表港、鹿児島港、桜島港、垂水港

種子島西之表港11時30分発フェリー「新さつま」に乗船、鹿児島港着。

その後桜島港を経て垂水市海潟に着いた時は、夕暮れ近くになっていた。

種子島は離島の影響をもろに受け、ガソリンが高い。

2011年8月現在で、1ℓ177円である。鹿児島で入れようと、かすかすの状態で走ってきた。

ガソリンスタンドを見つけ、店員さんに、

「ガソリン満タンにしてくれや」

「ありがとうございます」

「垂水は、養殖魚の盛んな所でしょう、競りはやっていないのかな」

「いや、競りはないが魚の出荷はやってるよ!」

「何時頃からですか?」

「朝、4時から5時頃からだと思う」

「今日、この車でこの地に泊まりたいが、どこか洗面所のある所は・・」

「あんど、このスタンドの裏は港だから、あの信号を左に行くと港に出る。それを右に

 行くと洗面所があんど」

「コンビニは?」

「あっけほら、この道を戻って道路右側にほら・・」

「ああ、わかった!」

「もう一つ、この辺温泉はないだろうか?」

「この道を垂水市街地の方に行くと、道路右側に(紅洋館)という温泉があんど」

全く至れり尽くせりである。最高の条件が整った。今年はいつまでも暑い日が続く、

毎日風呂に入らんと気持ちが悪か・・

温泉紅洋館はすぐわかった。

入浴後コンビニへ。

ダレヤメ(晩酌)のおかずを買って港の洗面所のある近くの広場に車を止め、さっそく

ダレヤメ開始。

始めての車上泊で眠れるかなーと不安もあったが、ダレヤメの勢いでいつのまにか

熟睡していた。

明朝、3時30分頃、船のエンジンの音で目が覚めた。

「こらまあーやかましかもんじゃ(うるさいの意)」

「わざわいかとこれ、寝ちゃったきりゃ(うるさい場所に寝ていたの意)」

船のエンジン音のする方向を見ると、ひときわ明るい灯が見える。洗面を済ませて

その灯りの方へと行ってみると、もうカンパチの出荷が始まっていた。養殖イケスを

そのまま船で引っ張ってきて、丸い大きなタモを大胆に突っ込み、すくい上げている。

上げられたカンパチは、急所をシメられ、流れ作業で運ばれて行く。

イケスの魚をすくい終わると、次のイケスを船で引っ張ってきて、同じ作業を繰り返し

ながら陸上げをしていた。

そばで出荷作業を見ている人に

「このカンパチは、何年物ですか?」

「出荷するカンパチは、だいたい2年物ですよ」

鹿児島県垂水漁業協同組合、電話確認

単漁業組合として

養殖規模・・・日本一

漁獲高・・・日本一(年間5000トン)

出荷場所・・・日本全国